ペーパーレス化って自分たちでできるの?
  1. 書類を自社でペーパーレス化する方法と注意点

ペーパーレス化に必要な環境

ペーパーレス化を進める前に、先ずは「デジタル文書を保管する場所」「デジタル文書に安全にアクセスする通信網」「デジタル文書を快適に取り扱えるデバイス」という3つの環境を整えなければなりません。このうちのひとつでも不十分となれば、ペーパーレス化を導入することは難しいでしょう。ひとつずつ、順を追って解説いたします。

デジタル文書を保管する場所

デジタル文書を保管する場所

デジタル化した社内文書のデータ保管については、ファイルサーバーを設置し、そこでバックアップ・共有しましょう。ファイルサーバーを新たに購入するとなると初期費用はかかりますが、安全に効率良くファイル管理をするためには必要な出費です。

反対に、ファイルサーバーを運用せずにデジタル文書を管理するとなると、社員各自が自分のデバイスに保存しておくということになりますが、これは大勢で情報を共有したいとき、すべての相手にデータを送るという作業が発生するなど、ペーパーレス化最大のメリットであるスムーズな情報共有が実現できません。さらに、そのデバイスに何らかの障害が起きた場合や、誤って削除・上書きをしてしまった場合、ファイルを喪失する危険性もないわけではありません。

ファイルサーバーで共有ファイルを編集するようにすれば、社員は常に最新のファイルを手に入れることができるようになります。もちろん、アクセス権限を設定したり、誰が、いつ、どんなファイルにアクセスしたのか、という情報も残るため、セキュリティ面における安全性も高く、また、ファイルサーバーを使って常にファイルのバックアップを取っておけば、万が一の事態にも安心です。

デジタル文書に安全にアクセスする通信網

デジタル文書データを導入する際、必ず考えておかなければならいのが「不正アクセスによる情報漏洩リスク」です。セキュリティ性を高めるための技術として、インターネット上に仮想的な専用線を設け、安全な経路を使ってデータをやり取りする「VPN」というプライベートネットワークがあります。VPNを構築する方法としては、一般のインターネット回線を用いる「インターネットVPN」と、閉域網を利用した「IP-VPN」があります。

インターネットVPN
インターネットVPNは、既存のネットワークである一般のインターネット回線を用いることで、低コストで構築することができます。データを暗号化することで通信内容を保護します。
IP-VPN
IP-VPNは、大手の通信事業者が用意している閉域網を利用したVPNです。導入コストはかかりますが、通信速度の安定性やセキュリティ面ではインターネットVPNより優れています。

デジタル文書を快適に取り扱えるデバイス

デジタル文書を快適に取り扱えるデバイス

デジタル文書をどんなシーンで閲覧するのか、というところによって、快適で便利なデバイスは異なります。とは言え、「いつでもどこでも社内文書にアクセスできる」「テレワークの推進」といった、ペーパーレス化最大のメリットを重要視するのであれば、やはり持ち運びやすいタブレット端末が最適です。

ノートPCなどを既に導入している企業も少なくありませんが、起動待ちにイライラするほど時間がかかる、作業中によくフリーズするなどの動作上の問題などがあれば、社内文書のペーパーレス化のタイミングでデバイスを一新するというのもおすすめです。

ペーパーレス化を実現する方法

ペーパーレス化をスムーズに導入するための具体的な手順についてご紹介いたします。

はじめは紙とデータを併用する

はじめは紙とデータを併用する

今までは紙媒体の文書・資料を主に扱っていた企業が、突然データ化を取り入れた場合、現場に混乱が生じ、かえって作業効率が悪くなるということが起こるかも知れません。テスト導入などの手順を挟み、状況によってはセミナーなどを開講する必要があるかも知れません。

また、たとえば「納品書」「発注書」のように、社外に郵送していたような書類などは、データ化する前に送り先に告知などを行わなければなりませんよね。

いずれにしても、紙媒体の資料とデータ資料の両方を用意し、併用する期間を設けることで、よりスムーズにペーパーレス化を進めることができるでしょう。

データで管理する資料を明確化する

データで管理する資料を明確化する

紙で管理する資料とデータで管理する資料とを明確化し、保存・管理方法を差別化することも、ペーパーレス化のスムーズな導入においては必要不可欠です。と言うのも、業務上どうしてもデータ化することができない文書・資料というものは必ず存在しますし、現物性が高く、むしろ紙の方が効率的な書類というものもあるでしょう。そうした「紙のままの書類」とデータ書類とを、意識的に差別化し、保存・管理方法や利用場面などを使い分けることが、ペーパーレス化を成功させる秘訣と言えるでしょう。

「ペーパーレス会議システム」の導入も検討しよう

「ペーパーレス会議システム」の導入も検討しよう

ペーパーレス化の第一歩として「ペーパーレス会議システム」を導入してみるというのもひとつの手段です。ペーパーレス会議システムとは、簡単な操作で複数のコンテンツを同時に共有できるワイヤレスプレゼンテーションシステムで、タブレットやスマートフォンも含めた様々なデバイスからも、切り替え不要で直接写真や資料・ビデオなどの共有が可能です。互換性のあるタッチモニターなどと併用することで、プレゼンテーションを行いながらコンテンツの編集や注釈などを行えるため、より効率的な説明を実現します。また、会議時間を煩わしい準備に割くことがなくなり、時間を有効活用できるようになります。

代表的なペーパーレス会議システムと言えば、日立システムズの「SmartSession」、富士ソフトの「moreNOTE」などが挙げられます。価格や操作性など、メーカーによって異なりますので、一度じっくりと比較しながら検討してみてもいいかも知れませんね。

ペーパーレス化のスムーズな導入とは、いたずらに資料をデータ化するのではなく、下準備に時間をかけて、データ化すべきものとそうでないものを仕分けすることが重要です。失敗をしないためにも、ぜひじっくりと取り組んでいきましょう。

スキャンニング作業には専用のチームを設ける

実際に、データ化する資料・書類が決定したら、いよいよスキャンニング作業です。スキャンデータをpdfファイルなどで保存できる専用のスキャナーを用い、バインダから書類を外し、ホチキスを外して、1枚の状態にしてからスキャンニングします。スキャンデータはPCなどに取り込まれるよう設定しておき、データにファイル名を入力してフォルダに保存していきます。ファイル名やフォルダ階層は、あらかじめ取り決められた法則に従ってカテゴリ分けしておきましょう。また、バインダから取り外した書類は元に戻すのが一般的です。これだけの作業量ですから、自社で行う場合には専用のチームを作って取り組むのが得策と言えるでしょう。

書類を自社でペーパーレス化する際によくある問題点

ペーパーレス化は、自社で行うか代行業者に委託するかという2つの選択肢があります。ここでは、自社でペーパーレス化を行う時に起こりがちな問題点を挙げていきます。

  1. 1冊のバインダを電子化するだけで、膨大な作業時間がかかる(バインダから紙を外し、ホチキスを外し、スキャニングし、ファイル名を入力し、バインダに紙を戻す)
  2. 断裁できない書類は1ページずつのスキャンが必要でさらに手間がかかる
  3. 業務の合間にやっているため全く進まない
  4. 作業する人が各々のルールでフォルダにデータに入れたりファイル名を付けたりするので、あとで検索できなくなっている

いざペーパーレス化に取り組んだものの、一向に進まずかえって非効率化を招いてしまい、上層部もイライラ。このような問題が起こる原因は、ペーパーレス化作業を個別に行わせることにあります。

ペーパーレス化が進まないときに見直すべきポイント

次のような方法を取り入れることで、ペーパーレス化の作業効率がアップします。

電子化は1人ではなく、できれば複数人でやる

電子化作業は、思っている以上に大変です。そしてスキャン漏れがあった場合には大切な資料の一部をなくしてしまうことになるので、責任の重い作業でもあります。「バインダ数冊」のような少量でない限り、複数人で作業することをおすすめします。

作業工程を決めて分業する

次のように、作業工程を決めることもポイントです。

「バインダから書類を外し、ホチキスを外す人」→「スキャニングする人」→「データにファイル名を入力する人」→「バインダへ戻す人」

そして工程別に作業する人を振り分けます。分業することでミスを減らし効率的に作業ができますし、1人1人に大きな負荷をかけずに済みます。

業務の合間ではなく、時間を決めてやる

業務の合間を縫ってペーパーレス化を進めることは容易ではありません。特に緊急性が低いとなれば、どんどん後回しになってしまいます。そこで確実に進めていくポイントは、時間を決めてやることです。それが短時間であっても業務の隙間時間を当てるよりは効率的ですし、時間が決まっていれば他の業務を頼まれることもないので集中して作業できます。

ファイル名やフォルダ階層はあらかじめルール化しておく

これは大変重要です。せっかく大変な思いをして電子化しても、ファイル名がバラバラでデータが探しづらかったり、色んなフォルダに散在していては利便性とは程遠いものになってしまいます。作業前にしっかりルール化して、共有しておきましょう。

自社で行うペーパーレス化は1人1人に任せるのではなく、会社全体で取り組むものとして捉え、作業を進めやすい環境を作ることが必要です。

「ペーパーレス化」そのものを目的化しないこと

「ペーパーレス化」そのものを目的化しないこと

ペーパーレス化を自社で行った場合、挫折してしまうことがしばしばあります。その原因の1つとして、「ペーパーレス化そのものが目的になってしまっている」ことが挙げられます。

ペーパーレス化の目的とは、あくまでもその先にある業務効率化・コスト削減・省スペース化など。どうすればそれらの目的を果たすことができるか?という点を入念にシミュレーションしておくことが成功の秘訣なのです。

例えばPCやタブレットなどITツールに不慣れな人が社内に多い場合、電子化することでかえって業務の効率が落ちてしまうかもしれません。そういったケースでは、ITが苦手な人でも直観的に使えるようなツールを取り入れるなどの工夫が必要になります。また必要のないものまで電子化して時間を取られることのないよう、リストを作ることも有効でしょう。

ペーパーレス化そのものを目的としてしまうと、このようなことに気付けず、時間と手間をかけて失敗例を作ってしまうことになります。

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